こめ油ベースのCBDオイルを作る理由

 CBD(カンナビジオール)オイルをどのように摂取していますか?

 1つの方法として舌下からの粘膜吸収があります。経口摂取するとCBDが消化分解されて体内への取り込みが減少するため、口腔粘膜から毛細血管、血中へと吸収させようと舌下に垂らすというものです。

 CBDを経口摂取した後、体内への取り込み量を血中濃度として測定すると、経口摂取量に対して体内への取り込み量は極端に少なくなります。アグレルらは40mgのCBDをチョコレートクッキーに含有させて経口摂取させた場合に血中濃度が5-8ng/mlしかなかったと報告しています(1)。またコンズローらはハンチントン病の患者に約700mg(10mg/kg)のCBDを毎日経口摂取させたところ、血中濃度は5.9-11.2ng/mlでしかなかったと報告しています(2)。これらの報告は経口摂取量に対する体内への取り込み量が~1%程度(3)に過ぎないことを示しています。そして、この取り込み量の低さは、胃での分解や腸から吸収され肝臓で分解(肝臓の初回通過(4))されることが原因と説明され、CBDの分解を避けて体内へより多く吸収させるために、舌下からの粘膜吸収が勧められています。

 この一方で、近年の研究に、CBDを脂質と共にラットに与えると、腸リンパ液中のCBD濃度が血漿中濃度のおよそ250倍にもなるとの報告があります(5)。これは、CBDが肝臓を経由した分解を避け、腸リンパを経由して体内に多く取り込まれていることを示しています。
CBDを油分の多い食べ物と一緒に摂ると体内吸収率が上がるという報告があるのですが(6)(7)(8)、この報告は肝臓経由を支持するというより、CBDの腸リンパ経由の取り込みを後押しする内容と言えます。
このリンパ経由の取り込みを理解する際に、併せて押さえたいことは、どんな形態でCBDを摂っても腸リンパ中のCBD濃度が高くなる訳ではなく、脂溶性であるCBDを溶解させて腸リンパへ流れやすくするのに適した成分が必要となります。
 油には、肝臓を経由しやすい油と腸リンパを経由しやすい油が存在します。肝臓を経由する油は肝臓で強力な分解を受けるのに対し、腸リンパを経由しやすい油は、腸で一部分解を受けた後、腸表面の腸細胞においてカイロミクロンと呼ばれる脂質粒子になります。このカイロミクロンは、腸から腸リンパを経由して取り込まれた後に体内を循環します。CBDはこのカイロミクロンを乗り物にして腸リンパへ移行し、リンパの流れだけでなく、血中へも運ばれていきます(6)。

このようなことから、CBDを食中/食後のタイミングに、腸リンパを経由しやすい油と共にとることで、舌下吸収を意識しなくとも、体内への取り込み量を上げることができます。『こめ油』は腸リンパを経由しやすい油分である、リノール酸とオレイン酸が豊富です。そのため『こめ油』はCBDにとって腸リンパ経由の良い乗り物となり、身体への取り込みを上げる助けとなるでしょう。

(1) S. Agurell, et al., Experientia. (1981), Interactions ofΔ 11-tetrahydrocannabinol with cannabinol and cannabidiol following oral administration in man. Assay of cannabinol and cannabidiol by mass fragmentography with cannabinol and cannabidiol following oral administration in man. Assay of cannabinol and cannabidiol by mass fragmentography
(2) P. Consroe, et al., Pharmacol Biochem Behav. (1991), Assay of plasma cannabidiol by capillary gas chromatography/ion trap mass spectroscopy following high-dose repeated daily oral administration in humans
(3) 体重70kgを70,000mlの血漿量と置き換えて計算
(4) 肝臓の初回通過:腸から吸収された成分(薬剤や栄養成分、有害物質など)が、全身を巡る前に肝臓において分解、解毒される
(5) A. Zgair, et al., Nature Scientific Reports. (2017), Oral administration of cannabis with lipids leads to high levels of cannabinoids in the intestinal lymphatic system and prominent immunomodulation
(6) A. Zgair, et al., Am J Transl Res. (2016), Dietary fats and pharmaceutical lipid excipients increase systemic exposure to orally administered cannabis and cannabis-based medicines
(7) V. Franco et al., Drugs. (2019), Pharmacological and Therapeutic Properties of Cannabidiol for Epilepsy
(8) L.Taylor, et al., CNS Drugs. (2018), A Phase I, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Single Ascending Dose, Multiple Dose, and Food Effect Trial of the Safety, Tolerability and Pharmacokinetics of Highly Purified Cannabidiol in Healthy Subjects

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