CBDと睡眠 ― 休息に向かう心と体
夜になっても頭の中が冴えている。体は疲れているのに、なかなか気持ちが切り替わらない。
そんな経験や悩みをきっかけに、CBDに興味を持つ方もいるのではないでしょうか。
CBDは睡眠そのものだけでなく、不安や緊張など、眠る前の心身の状態との関わりについても研究されています。

CBDは「不安や緊張」にどう関わる?
CBDと不安の関係については、複数のヒト研究があります。
2011年の研究では、社会不安障害のある24人を対象に、模擬スピーチの前にCBD 600mgまたはプラセボを投与しました。
その結果、CBDを摂取したグループでは、スピーチによって生じる不安や認知的な不快感などが低下しました。
また、健康な男性57人を対象に、CBD 150mg、300mg、600mgまたはプラセボを比較した研究では、300mgを摂取したグループでスピーチ中の不安が低下しました。
一方、150mgや600mgではプラセボとの差がみられず、CBDの作用は単純に「量が多いほど強くなる」わけではない可能性も示されています。
さらに、臨床研究の規模はまだ小さく、今後さらに検証が必要とされてはいますが、2024年のメタ解析では、8つの研究、316人を対象にCBDと不安の関係が検討され、全体として不安を低下させる方向の効果が示されました。
こうした研究から、CBDについては、不安や緊張に対する反応をやわらげる可能性が研究されていることが分かります。
CBDと心身の反応をつなぐ仕組み
不安や緊張を感じるとき、私たちの体では脳や神経系を通して、さまざまな反応が起こっています。
CBDの抗不安作用についてまとめたレビューでは、セロトニン系の5-HT1A受容体や、私たちの体に備わるECS(エンドカンナビノイドシステム)など、複数の仕組みとの関係が検討されています。
CBDは一つの受容体だけに作用するのではなく、不安や緊張に関わる複数の経路を通して心身の反応に関与する可能性が研究されています。
こうした心理状態への研究は、睡眠との関係を考えるうえでも興味深いものです。
眠る時間になっても仕事のことを考えてしまったり、明日の予定が気になって頭が休まらなかったりするように、睡眠は「夜になれば自動的に始まるもの」とは限りません。
では、CBDそのものを使って睡眠を調べた研究では、どのような結果が出ているのでしょうか。
CBDは睡眠そのものにどう影響する?
CBDと睡眠の研究は1980年代から行われています。
1981年の小規模な研究では、不眠を訴える15人にCBD 40mg、80mg、160mgまたはプラセボなどを投与しました。
その結果、160mgのCBDを摂取したとき、プラセボより長く眠ったと参加者が報告しています。
一方で、健康な成人27人を対象にCBD 300mgを就寝前に1回投与した2018年の研究では、睡眠時間や睡眠段階などに明確な変化はみられませんでした。
研究者らは、抗不安作用がみられる量のCBDを一度摂取しても、健康な人の正常な睡眠サイクルを大きく乱さなかったとしています。
不眠がある人では?
より最近では、実際に不眠のある人を対象にした研究も行われています。
2024年のランダム化比較試験では、中等度から重度の不眠症がある30人を対象に、CBD 150mgまたはプラセボを、毎晩就寝約1時間前に2週間摂取してもらいました。
その結果、不眠の重症度や自己申告による入眠時間、夜中に起きている時間などについては、CBDとプラセボの間に明確な差はありませんでした。
しかし、2週間後の測定では、CBD群で客観的な睡眠効率が約6.9ポイント高く、ウェルビーイングのスコアも高かったことが報告されています。
この研究では、CBD摂取後に客観的な睡眠効率が高まり、あわせてウェルビーイングにも良い変化がみられました。
眠りの状態と心身のコンディション、睡眠そのものだけでなく、心身の状態にも変化がみられた点が特徴的です。
「夜だけ」で決まるものではない
睡眠を考えるとき、睡眠時間や入眠までの時間だけに注目しがちですが、眠る前までの心身の状態も無関係ではありません。
不安や緊張が続いていると、布団に入っても考え事が止まらなかったり、気持ちがなかなか休息へ切り替わらなかったりすることがあります。
CBDについては、不安や緊張への反応をやわらげる可能性を示した研究と、睡眠の一部の指標に変化を示した研究の両方があります。
CBDと不眠について34の研究をまとめたシステマティックレビューでも、一部の研究で睡眠改善が報告されています。
しかしながら不眠症そのものを対象にした研究はまだ少なく、CBD単独ではなく、THCなどほかのカンナビノイドを含む研究もあります。
研究によってCBDの摂取量や対象者、睡眠の評価方法も異なるため、CBDと睡眠の関係については、現在も研究が進められている段階です。
CBDが心と体の変化にどのように関わるのか。CBDと睡眠を考えるとき、単純に摂取したあと、「眠くなるかどうか」だけではなく、眠りそのものと、眠る前の不安や緊張、心身が休息へ向かう状態との関係にも目を向けてみてください。
今後さらに研究が重ねられることで、CBDと睡眠の関係がより詳しく見えてくるかもしれません。
参考・引用資料
[1]Bergamaschi MM, et al.
Cannabidiol reduces the anxiety induced by simulated public speaking in treatment-naïve social phobia patients
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21307846/
[2]Zuardi AW, et al.
Cannabidiol presents an inverted U-shaped dose-response curve in a simulated public speaking test
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30328956/
[3]Han K, et al.
Therapeutic potential of cannabidiol (CBD) in anxiety disorders: A systematic review and meta-analysis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38924898/
[4]Blessing EM, et al.
Cannabidiol as a Potential Treatment for Anxiety Disorders
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26341731/
[5]Carlini EA, Cunha JM.
Hypnotic and antiepileptic effects of cannabidiol
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7028792/
[6]Linares IMP, et al.
No Acute Effects of Cannabidiol on the Sleep-Wake Cycle of Healthy Subjects: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29674967/
[7]Narayan AJ, et al.
Cannabidiol for moderate-severe insomnia: a randomized controlled pilot trial of 150 mg of nightly dosing
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38174873/
[8]Ranum RM, et al.
Use of Cannabidiol in the Management of Insomnia: A Systematic Review
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36149724/


