CBDと痛み ― 痛みにCBDはどう関わる?

肩や腰の痛み、関節の痛み、ピリピリとした神経の痛みなど、私たちが感じる「痛み」にはさまざまな種類があります。

CBDと痛みの関係についても研究が進められており、慢性的な痛みや神経障害性疼痛、手術後の痛みなど、さまざまな条件で臨床研究が行われています。

痛みには、けがや炎症によるもの、神経が関係するものなど、さまざまな背景があります。

ではCBDは、私たちが痛みを感じる仕組みに、どのように関わる可能性があるのでしょうか

そもそも「痛み」はどうやって感じる?

私たちが感じる痛みは、皮膚や筋肉、関節などで受けた刺激が、神経を通して脳へ伝わることで生まれます。

また、炎症によって神経が敏感になったり、神経そのものが傷つくことで、通常なら痛みとして感じない刺激を「痛い」と感じることもあります。

CBDと痛みに関する臨床・前臨床研究をまとめた2024年のシステマティックレビューでは、TRPV1、5-HT1A、カンナビノイド受容体に関連する経路など、複数の仕組みとCBDとの関係が検討されています。 

CBDは、単純に「痛みを消す成分」としてではなく、痛みの情報が体内でどのように伝わり、調節されているのかという視点から研究されている成分です。

「飲むCBD」と神経の痛み

CBDオイルなどを口から摂取すると、CBDは消化管から吸収されて体内へ取り込まれます。

2026年には、オーストラリアで、脊髄損傷後に慢性的な神経障害性疼痛がある成人を対象としたランダム化比較試験が発表されました。

研究はNeuroscience Research Australiaやシドニー大学などで行われ、40人が無作為化され、38人が主な解析対象となりました。

この研究で使用されたのは、純度99%のCBDを1カプセル200mg含む経口製剤が使用されました。

200mg/日から開始して、400mg、600mgと段階的に増量し、最大800mg/日まで使用されました。研究ではCBDとプラセボをそれぞれ6週間使用し、その間に4週間の休薬期間を設けています。 

その結果、CBDを使用した期間では、自己申告による痛みの強さがプラセボより平均0.54ポイント低くなりました。

変化の大きさは控えめでしたが、研究者らは、高用量のCBD単独製剤と慢性的な神経障害性疼痛との関係をさらに研究する価値があるとしています。 

ここで注目したいのは、純度99%のCBDを使用した研究だったという点です。ブロードスペクトラムやフルスペクトラム製品を使った研究ではないため、この結果をすべてのCBD製品へそのまま当てはめることはできませんが、もしもブロードスペクトラムで行った場合、どうなるのか期待は膨らみます。

手術後の痛みにCBDを使った研究も

CBDは慢性的な痛みだけでなく、手術後の痛みに対しても研究されています。

2022年にアメリカで行われた多施設ランダム化二重盲検試験では、肩の腱板修復手術を受けた99人を対象に、CBDとプラセボが比較されました。

この研究で使用されたのはCBDのオイルではなく、ORAVEXX(Orcosa Pharmaceuticals)という口腔内で吸収させるCBD錠剤です。

体重80kg未満ではCBD 25mg、80kgを超える場合は50mgを、1日3回、14日間使用しました。

その結果、手術翌日の痛みのスコアは、CBD群で平均4.4、プラセボ群で5.7となり、CBD群の方が有意に低い結果となりました。

さらに、痛みのコントロールに対する満足度も、手術後1日目・2日目ともCBD群の方が高い結果となっています。 

なお、この研究では使用されたCBD製剤を、アイソレート・ブロードスペクトラム・フルスペクトラムのどれに分類するかまでは論文上で明確にされていません。

この研究で使用されたのは、口腔内から吸収させるCBD製剤です。

CBD研究では、オイルやカプセル、外用製剤など、さまざまな形のCBDが使われています。

どのような製剤で、どのくらいの量を、どのように使用したのかによって研究条件も異なるため、こうした違いもCBD研究の興味深いポイントの一つです

CBDは「飲む」だけではない

ここまで紹介したのは、CBDを口から、または口腔内から体内へ取り込む研究です。

一方、痛みに対するCBD研究では、もう一つ興味深いアプローチがあります。

それが、痛みや違和感のある場所の皮膚へCBDを塗る方法です。

オイルやクリーム、バーム、ジェルなどの外用製剤についても、人を対象にした研究が行われています。

末梢神経障害に「塗るCBD」

2020年にアメリカで、足などに末梢神経障害の症状がある29人を対象に、CBD外用製剤とプラセボを比較する研究が行われました。

15人がCBD群、14人がプラセボ群に分けられ、4週間使用しています。

使われたのは、約89mL(3 fl oz)あたりCBD 250mgを含む外用製剤です。後のレビューでは、CBDを配合したエミューオイル製剤として整理されています。 

その結果、CBD群ではプラセボ群と比較して、強い痛み、鋭い痛み、冷たい感覚、かゆみなどの症状が有意に低下しました。この試験は有害事象も報告されていません。 

この研究では、CBDを配合した外用製剤が使用されました。
スペクトラム分類よりも、実際にどのような基剤にCBDを配合し、どのように使用したかが研究条件として示されています

CBDアイソレートを関節に塗った研究

製剤の中身がより明確に記載されている研究もあります。

2022年にアメリカ・バージニア大学で、親指の付け根の関節炎がある18人を対象にしたランダム化比較試験が行われました。

この研究で使用されたのは、ヘンプ由来で純度99.07%のCBDアイソレートです。

結晶状のCBDアイソレートをシアバターに混ぜ、CBD濃度を6.2mg/mLに調製。1回1mLを1日2回、2週間使用し、CBDを含まないシアバターと比較しました。 

その結果、CBDを使用した期間では、痛みや腕・肩・手の日常生活上の障害、患者自身による機能評価が改善しました。

一方、握力やつまむ力、関節可動域といった身体測定については、大きな違いはみられませんでした。

これも、ブロードスペクトラムだとどうなるのか期待が膨らみます。 

研究から見えてくる、CBDと痛みの現在地

ここまで見てきたように、CBDと痛みをめぐる研究には、さまざまなアプローチがあります。

神経障害性疼痛に対して高純度CBDを経口で用いた研究、手術後の痛みに口腔内吸収型のCBD製剤を使った研究、さらに末梢神経障害や関節の痛みに外用CBDを使った研究など、対象となる痛みも、CBDの使い方もさまざまです。

また、研究で使われているCBDも、CBD単独の高純度製剤、アイソレート、スペクトラム分類が明示されていない製剤など、それぞれ条件が異なります。

こうして並べてみると、CBDと痛みの関係は、ひとつの方法やひとつの製品だけで語れるものではなく、どんな痛みに、どんなCBDを、どのような方法で使うのかという視点から研究が広がっていることが分かります。

今後、ブロードスペクトラムをはじめ、成分構成の違いや摂取方法の違いまで比較する研究が増えていけば、CBDと痛みの関係はさらに具体的に見えてくるかもしれません。

飲むCBD、塗るCBD、それぞれの研究が少しずつ積み重なっている今、CBDと痛みはこれからも注目していきたいテーマのひとつです。

参考・引用資料

[1]Cásedas G, et al.
Cannabidiol (CBD): A Systematic Review of Clinical and Preclinical Evidence in the Treatment of Pain
PubMedで確認する

[2]Robertson RV, et al.
High-dose cannabidiol for chronic neuropathic pain associated with spinal cord injury: a randomised clinical trial
PubMedで確認する

[3]Alaia MJ, et al.
Buccally Absorbed Cannabidiol Shows Significantly Superior Pain Control and Improved Satisfaction Immediately After Arthroscopic Rotator Cuff Repair
PubMedで確認する

[4]Xu DH, et al.
The Effectiveness of Topical Cannabidiol Oil in Symptomatic Relief of Peripheral Neuropathy of the Lower Extremities
PubMedで確認する

[5]Heineman JT, et al.
A Randomized Controlled Trial of Topical Cannabidiol for the Treatment of Thumb Basal Joint Arthritis
PubMedで確認する

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