犬のてんかんとCBD ― 臨床研究から見えたこと

犬のCBD研究では、変形性関節症に加えて、てんかんについても複数の臨床研究が行われています。

犬のてんかんでは、抗てんかん薬による治療を続けていても十分に発作をコントロールできない「難治性」や「薬剤抵抗性」と呼ばれるケースがあります。

こうした犬を対象に、抗てんかん薬による治療を続けながらCBDを追加したとき、発作の回数や発作が起きる日数にどのような変化がみられるのか、研究が重ねられてきました。

今回は、実際に犬を対象に行われた研究を見ていきます。

2019年、CBD追加によって発作頻度が減少

2019年、難治性の特発性てんかんを持つ犬26頭を対象とした無作為化盲検比較試験が発表されました。

犬はCBD群12頭とプラセボ群14頭に分けられ、それまで使用していた抗てんかん薬を継続したうえで、CBDまたはプラセボを12週間追加しました。

CBD群では、CBD 2.5mg/kgを1日2回使用しています。

途中で除外された犬もいたため、最終的な解析はCBD群9頭、プラセボ群7頭で行われました。

その結果、CBD群ではプラセボ群と比較して発作頻度が有意に減少し、変化の中央値は33%でした。

さらに、血液中のCBD濃度が高い犬ほど、発作頻度の低下が大きいという関連も報告されています。

この研究で使用されたものはCBDを含むオイルですが、論文の情報だけでは、現在一般的に使われている「アイソレート」「ブロードスペクトラム」「フルスペクトラム」のいずれに該当するかを明確に分類することはできません。

そのため、ここではCBDオイルを使用した研究として捉えます。

2025年、純度99%を超えるCBDを使用した研究

2025年には、難治性てんかんの犬13頭を対象とした探索的な研究が発表されました。

13頭すべてが、すでに2〜6種類の抗てんかん薬を使用していました。

CBDは0.5mg/kgを1日2回から開始し、それぞれの犬の状態を確認しながら最大2.5mg/kgを1日2回まで段階的に増量しています。

12週間観察したところ、発作回数の中央値はCBD使用前の11回から5回へ減少しました。

また、13頭中8頭、61.5%の犬で発作頻度が50%以上減少し、群発発作の回数にも有意な減少が報告されています。

この研究で使用されたのは、第三者機関による分析で純度99%を超えるCBD粉末をオイルに調製したものです。

複数のカンナビノイドを含むフルスペクトラム製剤とは異なり、CBDを単離した製剤を主体とした研究でも、発作頻度の減少が報告されたことになります。

なお、この研究にはプラセボ群がなく、CBD使用前と使用後を比較した研究です。

海外では複数のカンナビノイドを含む製剤も研究

海外では、CBD以外のカンナビノイドを含むヘンプ抽出物を使用した臨床研究も行われています。

2022年には、難治性てんかんの犬14頭を対象としたクロスオーバー試験が発表されました。

同じ犬がヘンプ由来のカンナビノイド製剤を12週間使用する期間と、プラセボを12週間使用する期間の両方を経験しています。

製剤を使用していた期間では、12週間あたりの平均発作回数が5.0回だったのに対し、プラセボ期間では8.0回でした。

発作が起きた日数も、製剤使用期間では平均4.1日、プラセボ期間では5.8日となり、有意な違いが確認されています。

さらに、発作頻度が50%以上減少した犬は14頭中6頭で、プラセボ期間では該当する犬はいませんでした。

この研究で使われた製剤は、ゴマ油をベースに、

・CBD:約30mg/mL
・CBDA:約31mg/mL
・THC:約1.2mg/mL
・THCA:約1.3mg/mL
・CBC:約1mg/mL
・CBCA:約1.2mg/mL

を含むヘンプ抽出物でした。

この研究はCBD単体の研究ではなく、THCを含む複数のカンナビノイドを含有する製剤全体で得られた結果です。

日本国内で扱うことができるCBD製品とは条件が異なるため、製剤の成分構成も含めて結果を見る必要があります。

51頭を対象にした、より大きな臨床試験

2023年には、薬剤抵抗性の特発性てんかんを持つ犬51頭を対象とした、二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験が発表されました。

最初にCBD 5mg/kg/日が12頭で検討され、その後39頭では9mg/kg/日が使用されました。

CBDとプラセボをそれぞれ約3か月間使用して比較したところ、9mg/kg/日の試験では、CBD使用中の総発作回数がプラセボ使用中より有意に減少しました。

また、発作が起きた日数は、CBD期間では24.1%減少した一方、プラセボ期間では5.8%増加していました。

この研究で使用されたのは、CBDを中心にほかのカンナビノイドも含むフルスペクトラム製剤で、基剤にはヘンプシードオイルが使用されました。

植物由来の製剤であるため、製造ロットによってカンナビノイドの組成にわずかな違いがあったことも報告されています。

この研究も複数のカンナビノイドを含む製剤を使用した海外研究です。

犬のてんかんとCBD研究から見えてきたこと

これまでの臨床研究では、発作頻度の低下や発作が起きる日数の減少など、てんかん発作に関する変化が複数の研究で報告されています。

研究によって対象となった犬の数やCBDの使用量、研究期間などは異なりますが、難治性や薬剤抵抗性のてんかんを持つ犬を対象に、CBDを追加したときの変化が少しずつ調べられてきました。

また、使用された製剤も一つではありません。CBDオイルのほか、複数のカンナビノイドを含む製剤、フルスペクトラム製剤、純度99%を超えるCBDを主体とした製剤など、さまざまなタイプが研究されています。

その中でも、純度99%を超えるCBDを使用した研究でも発作頻度の低下が報告されていることは、CBDそのものと犬のてんかんとの関係を考えるうえでも興味深い結果です。

こうした臨床研究が重ねられてきたことで、犬のてんかんはCBD研究の中でも注目されているテーマのひとつとなっています。

今後、製剤の違いや使用量、血中CBD濃度と発作の変化との関係などがさらに詳しく調べられることで、犬のてんかんとCBDについて、より具体的なことが明らかになっていくことが期待されます。

参考文献

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PubMedで論文を見る

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[3] Rozental AJ, et al.
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[4] Kimram K, et al.
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DOI: 10.3390/ani15243614. PMID: 41463899.
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